【阪神・淡路大震災30年】震災から学ぶ災害医療組織『DMAT』とは?~戦中・戦後で最大の自然災害~

【阪神・淡路大震災30年】震災から学ぶ災害医療組織『DMAT』とは?~戦中・戦後で最大の自然災害~ 日本史
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みなさん、いかがお過ごしだったでしょうか。

どうも、ともきどっとん(@tomokidotn)です。

1995年1月17日 午前5時46分

マグニチュード7.2

戦後・戦中を通じて最大の自然災害といわれる「阪神・淡路大震災」が起きました。

阪神・淡路大震災では多くの医療機関が機能不全に陥り、多くの被災者と患者の命が失われました。

この震災の教訓から災害医療体制が整備されました。

その中で最も代表的なものが「DMAT」です。

今回の記事では、DMATについて取り上げていきたいと思います。

では、一緒に素敵なタイムトラベルの旅へ

DMATとは

DMATとは、災害急性期に機動性を持った活動ができる専門的なトレーニングを受けた医療チームと定義されています。

Disaster Medical Assistance Teamを略して、DMATと呼ばれています。

災害急性期とは、災害発生から48時間以内を指します。

災害発生から48時間以内に、最大規模にして(30名~50名)もの専門的トレーニングを受けた医療チームが部隊として派遣されます。

部隊を構成する各チームは、1チーム4名(医師1名、看護師2名、業務調整員1名)が基本となります。

業務調整員としては、臨床検査技師、臨床工学技士や薬剤師が担当する場合があります。

DMATの必要性

阪神・淡路大震災では初期医療体制が遅れていたことから、被害が拡大したと考えられています。

つまり、平時の救急医療の水準の医療が提供されていれば、救命ができた命、「避けられた災害死」が500名ほど存在していたと考えられています。

阪神・淡路大震災という未曾有の大災害から多くの課題が浮き彫りとなり、下記の教訓を活かして、医師が災害現場で医療活動に従事する必要性が認識されるようになりました。

  • 医療機関の連携がなかった
    ➡災害拠点病院の指定や医療チームの発足などの災害医療の体制が整備された
  • 患者選別(トリアージ)がほとんど行われなかった
    ➡被災者の選別と治療の順番の重要性が認識された
  • 医薬品の備蓄がすぐになくなり断水で人工透析などができなかった
    ➡災害医療で被災地に負担をかけない自己完結型の医療施設の重要性が認識された
  • ライフラインの寸断や医療機器破損などにより、医療機能が大きく低下した
    ➡被災時に被災地の医療機能を維持するために、被災病院の指揮の下に医療行為をする病院支援の重要性が認識された

“一人でも多くの命を助けよう”

これを合言葉に、平成17年4月に災害派遣医療チーム、日本DMATが発足しました。

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自己完結型のDMAT

災害医療に従事するDMATは、自前で用意した資材を持ち込み、現場で医療活動を行います。

自前で資材を持ち込み、医療活動を行う災害医療のことを「自己完結型」といいます。

では、なぜ自己完結型の医療活動にこだわったのでしょうか。

その原点は、やはり阪神・淡路大震災にありました。

自己完結型にこだわった理由

DMATを指揮する日本赤十字看護大学の部門長の中山雅治さんはいいました。

当時の避難所は暖房設備も不十分で、寒い中、食べ物の提供もままならない状況でした。風邪をひいたり持病が悪化したりする人もいて、『水がほしい』とか『寝るスペースを貸してほしい』とお願いすると、被災者を助けるどころか迷惑をかけることになると感じました。そのため、自分たちの寝るところも含めてすべて自己完結すると決意しました

変わる災害医療「自己完結」と「後方支援」で命を守る 阪神・淡路大震災から30年 | NHK | WEB特集 | 阪神・淡路大震災

つまり、災害医療活動も長期化していく中で、医師が「水が欲しい」「寝るスペースを貸して欲しい」とお願いすると、医療を受けるべき被災者に迷惑がでるかもしれないと考えたからということです。

5万点に及ぶ資材

赤十字の倉庫には、医療資材だけではなく、DMATの衣食住に関わる資材も大量に備蓄されています。

倉庫は拡張に拡張を重ね、現在では5万点に及ぶ資材があります。

その内訳は、医療資材は当たり前として、季節に対応した寝袋や安全靴、通信機器など多種多様です。

こういった大量の資材を中心として、屋外テントを活用した野外病院を活用して、被災者への負担を軽くしながら災害医療にあたっています。

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裏方さんの後方支援

災害医療は医師だけでは完結することはできません。

医療の提供は途切れたら助けられる命も助けることはできません。

「途切れない医療」を実現する必要があります。

変わる災害医療「自己完結」と「後方支援」で命を守る 阪神・淡路大震災から30年 | NHK | WEB特集 | 阪神・淡路大震災

そこで裏方にあたる後方支援担当のメンバーが、それぞれの病院が診療を続ける上で重要な水や電気といったライフラインの状況を、現場の本部にいるDMATに送信します。

DMATは、その送信されたデータを参考にして、被災状況を分析・リスト化して、どの物資がどれだけ不足しているかを把握します。

そして、把握した被災状況を参考にして、自治体などを通して、必要な物資を迅速に送ります。

普段は病院の医師

DMATの医師は、普段は病院の医師をしています。

ただ普通の病院に勤務していることはありません。

災害医療・救急等に特化した病院に勤務していることがほとんどです。

  • 災害拠点病院
  • DMAT指定医療機関

の2つが、災害医療・救急等に特化した病院です。

こういった病院に勤務しながら、専門的なトレーニングを積み、DMAとして活躍しています

まとめ

今回は阪神・淡路大震災を契機に構成されたDMATについてみていきました。

近年は災害が増え、いつ何時、何が起こるか分かりません。

しかし、こういった専門的なトレーニングを受け、命を救おうと懸命に頑張ってくれている医療従事者がいることも事実です。

今回の記事を通して、一人でも多くの方に医療の大切さが伝わればいいなと思っています。

“一人でも多くの命を助けよう”

DMATの合言葉です。

私たちは

“少しでも長く生きよう”

これを合言葉に日本人として懸命に生きていきたいと思います。

今回のタイムトラベルの旅は終了です。

では、また一緒にタイムトラベルの旅に出ましょう。

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