グッチ一族の繁栄と悲劇の歴史を紐解く

みなさんは「グッチ」というブランドを知っていますか？

現在でも世界中で愛され模倣品まで蔓延っている「グッチ」ですが、現在は創業者一族の手からは離れて経営されています。

しかし、紛れもなく３代目までは創業者一族で経営されていました。

「ブランドの元祖」とも言われ、代々のトップは伝統を守りながら、ユニークなデザインと革新的な発想で世界中を席巻しました。

その驚きと感動のデザインは世界中のセレブを魅了し、虜にしてきました。

そんな繁栄と栄華を誇ったグッチですが、悲劇と苦労の連続でもありました。

今回の記事ではグッチの歴史を紐解いてみましょう。

まずは、ブランドロゴにもなっている「グッチオ・グッチ」から。

創業者・グッチオ・グッチ

1881年

イタリアのフィレンツェでガブリエロ・グッチの息子として誕生します。

実家は麦わら帽子を制作する「ガブリエロ」という零細起業でした。

1898年

グッチオ・グッチはロンドンでビッグになろうとして、蒸気船の機関助手として働きながらロンドンに渡りました。

ロンドンでは「ロンドンで最も有名なホテル」として王族貴族御用達のサヴォイ・ホテルで皿洗いの使い走りとして就職しました。

1901年

故郷のフィレンツェに帰郷。

帰郷後、商店を渡り歩きますが、第一次世界大戦が開始すると徴兵されます。

1919年

第一次世界大戦が終戦するとフィレンツェに帰郷。

イタリアの「フランツィ」に就職し、そこで皮革の技術を身に着けます。

これがグッチオ・グッチが成功するターニングポイントとなります。

ここからは数年でグッチにまで進化します。

1921年

皮革製品の会社を設立します。

1922年

フィレンツェのバリネオ通りに自店を開業します。

1923年

「GUCCI」という店名を掲げます。

主な取り扱い分野は、イギリスから輸入した鞄の販売と修理でした。

これが後のグッチの看板商品となる「鞄」の研究にも繋がっていきました。

そして、次第にイギリスへ出稼ぎしていたときに身に着けた感性と独自の視点で皮革製品の製造を開始しました。

グッチオ・グッチは鞄だけではなく、トランク・手袋・靴・ベルトなどを制作するようになり、その各商品は「乗馬」をモチーフにしました。

その斬新で洗練されたデザインが国内外の世界中のセレブから注目を浴びることになり、有名になっていきました。

1940年6月10日

イタリアが第二次世界大戦に参戦

1947年

第二次世界大戦中のイタリアで皮革が統制品となりました。

そうすると、グッチのメイン素材である「革」が使用できなくなります。

そんな危機的状況の中でもグッチは諦めません。

持ち前の独創性と創造性で新しいことを始めます。

代用品の使用です。

まず誕生したのが合成皮革であるPVCです。

これはキャンバス地をコーティングした天然皮革に似せた人工素材です。

同時期に誕生したのが日本でお馴染みの竹を素材にした「バンブー」です。

この時にグッチを象徴とする数々の商品は誕生したのです。

斬新でユニークな商品はまたもや世界中を席巻し、人気を博します。

1953年

グッチオ・グッチの三男で後の2代目社長であるアルド・グッチが、グッチオ・グッチの反対を押し切り、ニューヨークに支店を出店し、責任者となります。

同年夏

グッチオ・グッチは、ニューヨークに店舗を構えて15日後に72年の長い生涯を閉じます。

後継者である2代目社長は三男のアルド・グッチが就きます。

その他のバスコ・グッチ、ロドルフォ・グッチ、養子であったウーゴ・グッチもそれぞれが父の事業を引き継ぎ成長させました。

２代目・アルド・グッチ

1905年

グッチオ・グッチの三男として誕生します。

1925年

20歳の成人を機会にグッチの経営に参画します。

1940年

その他の兄弟と共に、少数のグッチ株式を譲渡され、グッチオ・グッチの後継者として本格的に経営に携わります。

1953年

2代目社長に就任すると、ロドルフォ・グッチと共にブランドの国際化を果たしていきます。

1964年

銀座のみゆき通りにグッチが日本初出店します。

1977年

次男であるパオロ・グッチをアメリカの関連会社の重役として就任させる。

しかし、弟のロドルフォ・グッチ（パオロの叔父）はたった1年でパオロ・グッチをイタリアの親会社から追放します。

その後、アルド・グッチはパオロ・グッチの数々の問題行動に憤怒し、アメリカの関連会社からも追放します。

これを契機に親子での醜い骨肉の争いが始まります。

1986年

アルド・グッチは次男のパオロ・グッチから脱税の疑惑をかけられ裁判を提訴されます。

この裁判の中でアルド・グッチは脱税していたことを認め、約1年の獄中生活をすることになります。

このとき、アルド・グッチは80代でした。

1990年1月

刑期を終えた後、前立腺がんで亡くなります。

３代目・マウリツィオ・グッチ

1948年

グッチオ・グッチの末っ子のロドルフォ・グッチの息子として誕生する。

1971年

この年、グッチ一族の栄華の終焉の始まります。

セレブが集うパーティーで後に妻となるパトリツィア・レッジャーニと出会います。

パトリツィア・グッチはどんな話でも聞いてくれ相談にも乗ってくれるパトリツィアに心を惹かれ、交際を開始します。

父のロドルフォ・グッチは「グッチ家の財産目当ての女だ！！」と2人の交際と結婚に反対しますが、そんな父の反対を押し切る形で翌年に結婚します。

1972年

結婚と機会に、叔父のアルド・グッチと共にアメリカに渡り、約10年間ニューヨークでビジネスマンとして生活する。

1977年

長女が誕生する。

1981年

次女が誕生する。

パトリツィアのゲスさに気付いていた父・ロドルフォも、義理の娘になり孫も出産したパトリツィアに心を許すようになりました。

1983年

父のロドルフォの死去に伴い、父の株式を相続します。

その結果、30代半ばでグッチ幹部の一人になりました。

この相続で叔父のアルド・グッチと確執が生まれます。

1989年

様々な問題を乗り越えて、グッチの会長に就任します。

グッチ家グッチの保有株式50％

この時期にバーレーンの投資会社「Invest Corp」にグッチの株式を半分売却します。

この売却により、この投資会社との資本業務提携契約が始まり、外部から幹部を招き入れることになります。

1990年

皮革の世界最高峰ブランドであったグッチをアパレル分野に本格進出する決断をします。

その決断は正しくミラノコレクションに参加することができました。

1991年

妻であったパトリツィアと離婚します。

原因は、インテリアデザイナーのパオラ・フランキとの不倫です。

1993年

経営者としての才能は無かったのかもしれません。

経営がなかなか上手くいかず多額の負債を抱えることになりました。

グッチ家グッチの保有株式0％

そんな窮地に陥っている状態だったので、提携していた投資会社「Invest Corp」に残りのグッチの株式（50％）をすべて売却します。

ここで創業者一族はグッチの経営権を完全に失ってしまいました。

1953年3月

殺し屋に銃殺され、40代後半で死去します。

捜査により、殺し屋を雇ったのは元妻のパトリツィアだと判明し、懲役29年の実刑判決を受けました。

しかし、約20年くらいで釈放されました。

釈放されたときのメディアの取材で、元夫を暗殺しようとした理由を尋ねられ、こう答えています。

「経営能力の問題だ」、と。

まとめ

どうでしたでしょうか。

私には非常に濃い歴史に感じました。

• 祖父の天才的な感性と経営能力
• 息子のそれを国際的にまでしたビジネスセンス
• 孫のダメっぷり

孫で駄目になるという典型的なダメっぷりを見せられて、頷きながら執筆しました。

また機会があるときに、グッチ3代目社長の暗殺事件の詳細を取り上げてみたいと思います。

では、またっ！