皆さんは、爵位を買えることをご存知ですか?
爵位といえば、君主制に基づく国家において、貴族や国家への功労者に授与される栄誉称号です。
つまり、爵位というものは購入することができず、国家の策定した規則に基づいて授与されます。
しかし、ある国だけは爵位が販売されています。
今回の記事では、それをご紹介したいと思います。
日本の爵位については過去の記事でお伝えしていますので、そちらをご覧ください。
自称「世界最小の独立国家」
今回の記事の主人公は、「世界最小の独立国家」を自称しているシーランド公国です。
大きさとしては、テニスコートと同じくらいのサイズとなります。
具体的には、幅は9m、長さ23mで、100坪ほどもありません。
これは0.44平方kmである世界最小のバチカン市国よりも小さな面積です。
では、なぜ、こんなにも小さいのでしょうか。
これは、シーランド公国が元々島でも国でもなく要塞だからです。
次から、ここを詳しくお伝えしていきたいと思います。
元々島でも国でもなく要塞だった?
沿岸防衛拠点
元々、島でも国でもなく要塞だったとお伝えしましたが、正体は何なのでしょうか。
これは、第二次世界大戦中にイギリスが作った沿岸防衛拠点の1つです。
現在は1つしかないのですが、過去には複数存在したため「マンセル要塞」と呼ばれていました。
要塞は、二本柱で構成されており、その上には居住区や砲台が設けられ、戦中は150人~300人くらいの海軍兵が住んでいました。
しかし、そもそもの目的がフランス占領中のナチス・ドイツ軍対策ですから、敵がいなくなってしまえば価値が無くなります。
価値が無くなれば撤収すればいいだけのはずなのに、なかなかそれはしませんでした。
戦後のイギリスは、福祉政策や事業の国有化などで多額の資金を使ってしまったので、小さすぎて再利用もできない、処分費用も多額に要する要塞を処分することはできなかったのでしょう。
そこに目をつけたのが、元イギリス陸軍出身のバディ・ロイ・ベーツという人でした。
パディ・ロイ・ベーツ
ゴミに目を付けたのが、元イギリス陸軍出身のバディ・ロイ・ベーツです。
戦後、彼は漁師として生計を立てていましたが、要素で海賊放送をやっていた人たちがいたので、自ら海賊方法を始めます。
しかし、本国イギリスから放送法違反で訴えられて100ポンドの支払い命令を受けると、資金不足に陥り中断することになります。
彼はイギリス領海の外にある別の要塞に移動しました。
しかし、相変わらず資金問題は解決されない上に、イギリスが1967年に海洋放送法で「マンセル要素からのラジオ放送禁止」を定めたことで海賊放送はできなくなりました。
それから一ヶ月も経たないうちに、彼は突如新しい行動に移します。
自ら「ロイ・ベーツ公」と名乗りはじめ、占領した要塞で独立宣言をします。
ここに「シーランド公国」が誕生します。